第2章 君に咲く痕【家康・裏あり】
「どうしたの、それ」
いきなり手首を掴んでしまったせいか、花蓮は、びっくりした顔でこちらを見上げてくる。
「…え?…家康?」
質問の意図がわかっていないのか、逆に質問で返される。
(…はぁ)
その無自覚なきょとんとした顔も、これだけのものをこさえて何とも思っていない様子にも、無意識にため息がでた。
「ここ、腕に傷できてるでしょ」
「あぁ…。これ?」
腕の柔らかな部分に残る痕…。
真っ白な滑らかな肌に赤い痕がくっきりと刻まれ、初めて見る人は誰もがぎょっとしてしまうほど。
傷の痛ましさもさることながら…
(でも、これって…)
答えを待たず、花蓮のもう片方の腕を掴んで廊下を歩き出す。
「ちょ、ちょっと待って」
慌てたような花蓮の声が背中越しに聞こえる。
「…なに」
「…ど、どこ行くの?」
(無自覚にもほどがある…)
「あんたが傷なんて作ってくるから」
「...へ?」
え、でも大したことないよ…?
と戸惑うような呟きが聞こえるも、それを無視して俺は花蓮を連れて歩いた。