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的場一門の妖姫

第19章 葛藤する心


『俺がいつまでもうじうじするなと強く叱ったんだ』
(紅月…)
言い淀む私にすかさず助け舟を出してくれた紅月に内心感謝しつつ、肯定するため口を開こうとしたが名取が先に指摘した。
「それは違うだろ?君のその表情は…恋した相手に裏切られた…そんな表情だ」
そう苦笑混じりに指摘する名取の表情はどこか悲しげな雰囲気を持っていた。
(恋…)
そういえば少し前、クラスメイトの女子が恋について語っていた気がする。
ドキドキして、でもそれは嫌な感じではなくて。その人といると安心したり、落ち着いたり。辛い時もあるけど、その人と居られたら幸せなのだと。
「もし良かったら私のところに来るかい?」
「でも…」
「的場になら使いを出して知らせてあげるよ。その様子じゃ、すぐに帰るわけじゃないんだろう?」
傍らの紅月に視線を向けると、好きにしろと返された。
「じゃあ…お言葉に甘えて…」
「うんうん。瓜姫」
「承知」
名取が声をかけると、美しい黒髪の式が的場邸の方へと飛んで行った。
「さて。それじゃあ行こうか」
「あ、ああ」
そして私は名取がひとり暮らししているマンションへ向かった。
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