第2章 出会い
「…その、お前の言う私の"居場所"は」
不意に問いかけた私の声は恐る恐る、という表現が一番合っていたことだろう。本当に、絞り出したかのような小さな小さな声の、問いかけ。
「その居場所は…雑音は無いのか…?」
的場は疑問符を浮かべたような顔をした。
「居場所っていうのは、そこに在っていいと…必要としてくれる者がいる場所の事だ…。そんな場所が、本当にあるのか…?半妖である私に…」
居場所をやるだなんて簡単に言われたくなかった。今までずっと雑音を耳にしながら生きてきた。両親がいなくなってからは唯々孤独で、ひとりぼっち。感情さえも忘れかけていた。
「もちろん」
もし、こんな私にも本当に居ていい場所があるのなら。
「おれが君を雑音から護ってみせるよ」
「…そう、か。いいだろう」
私は、自らその鎖を受け入れよう。自身のために。
「…ようこそ、的場一門へ。…いや、妖姫」
「ようひめ…?」
「君をおれの式として一門へ連れていく。妖姫は君の式としての名前」
「はっ…姫って柄じゃないけどな。まぁよろしく主」
「ああ、こちらこそ」
こうして、的場一門が私の居場所となり私と的場静司の関係は始まったのだった。