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的場一門の妖姫

第2章 出会い


―――――この森から出ていけ半端者!
―――――貴様のような半端者の居場所なんぞ何処にもありはしない
―――――近寄るな化け物!

半端者、半端者、半端者…

人と妖の間に生まれた半妖の私は、幼い頃からずっと人にも妖にも忌み嫌われてきた。
何故半妖というだけでこんなにも疎まれ、忌み嫌われなければならないのか。両親を恨んだこともあった。でも、5歳を迎える頃には両親共に亡くなった。
この胸に渦巻く黒い感情を向ける先も失い、家として使用している小屋へ身を隠して、誰にも受け入れられないならもういっそ自害でもしてしまおうか…、そんなことをぼんやり考え始めた時だった。
小屋の戸を軽く叩く音が室内に響く。
反応を返さずにいると戸がギィィ…と軋んだ音を出しながら開かれる。そこには青年…いや少年…?…やっぱり青年…?
…人間の男が立っていた。
「ああ良かった。君が半妖の少女だね?」
「…だったら何?」
「おれは祓い屋的場一門頭首、的場静司。君の名前は?」
「………雪咲」
「じゃあ。おれと一緒に来ない?」
コイツは何を言っているんだ。
共に来ないか、と聞かれ真っ先に思ったのはそれだった。しかし、続いた言葉に耳を疑った。
「おれは君が気に入った。半妖であるが故に人にも妖にも疎まれ、忌み嫌われてきたことだろう。おれが君に、"居場所"を与えてあげる」
「…何故私に?私なんかより使える奴はいっぱいいるだろ」
「言っただろう?君が気に入ったと」
「嘘だ。私は今までずっと誰からも受け入れられることなんてなかった。皆、皆、私を化け物だと…半端者だと…拒絶した…。それなのに、今更そんな言葉信じられるか」
「信じろとは言わない。おれは君へ居場所を提供する、君は居場所を手に入れる代わりにおれと共に的場一門へ来る、唯それだけだ」
果たしてこの男についていっていいものだろうか?しかし、この森に居続けても雑音しかないのもまた事実。ならばついて行ってみる価値はほんの少しだけ、あるのかもしれない。

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