第14章 約束の証
無事に的場邸に帰宅すると早速的場に呼び止められる。
「私の部屋に来てください。渡したい物があります」
「渡したいもの?」
「ええ」
傍らの紅月と顔を見合わせ先を歩く的場の後を付いて行った。
部屋に着き、座るように促され大人しく座布団に腰を下ろした。
『それで話というのは何だ小僧』
「こら紅月!」
「いいですよ、私は気にしませんから。…それでは単刀直入に言います」
そう言って的場はに小さな箱を、一つ差し出した。
「これは…?」
「開けてみなさい」
手に取り、赤い箱の表面は触っただけで上等な物と分かる程手触りの良いものだった。
恐る恐る箱を開けると中からはシルバーのリングが出てきた。
「あ…ある、じ…?このリングって…」
「その指輪は婚約指輪でも結婚指輪でもありません」
「じゃあこれは…?」
「御守り…と思って下さい。私なりの貴女への誓いです」
「誓い?」
そしての頭に浮かんだのは彼女らが出会って的場一門に来るきっかけとなった約束。
「貴女を的場一門に招き入れる際、私は"貴女を雑音から護る"と約束しました。ですが、先の一件で危うく貴女を失うところでした」
余程悔いているのか、的場は苦々しい表情になる。
「私はの抱えているものに気づけなかった。ですから、改めて誓います」
そして徐に立ち上がりの隣まで来ると先程に贈った指輪を手に取った。
「私は今後何があろうと貴女を護る。指輪をその証とし、ここに誓いましょう」
そして的場はの右中指に指輪をはめた。
「――……」
的場によって右中指にはめられた指輪を見つめる。