第13章 一難去ってまた一難
「!!」
に呪いをかけていた妖を退治し、急いで帰ってきた的場は、帰ってくるなりの部屋へ向かい襖を無雑作に開けた。
「主…?」
「よかった…!ちゃんと目が覚めたんです…ね…」
確かに、彼女は目覚めていた。若干ぼーっとしているようだが、言葉を発している。しかし、その瞳には光がなく心ここに在らずといった様子だった。
「私は…今まで何をやってたんだろうな…」
「…?何を言っているのですか…?」
「夢を…見たんだ…。私がまだ幼い時の記憶の夢…」
夢の中で知ったのは、両親は本当に望んでを産んだこと。
「物心がつく頃には…両親を恨んでた。両親は本当に望んで産んでくれたけど、私は…この世に生まれ落ちていい命だったのか…?」
そしてまたは存在を薄くさせてゆく。
的場は考えるより先に身体が動いていた。
「が気にすることではありません。少なくとも私は、貴女が生まれてきてくれたことに感謝しています」
「?なんで感謝なんかするんだ?他人のことだろ?」
「貴女を愛しているからです」
優しく、優しく、を抱きしめ頭を撫でる。
「貴女は私にとって縁談避けなどではなく、愛おしくて大切な…替えの効かない存在です」
いくら半妖といえど半分は人間であり、そして普通の人とたいして変わらない。怪我だってするし、その治りは常人に比べれば早いが異常に早いわけでもない。
「この命ある限り、私は貴女を護りましょう」
「そ、か…。でも私は主に愛される資格も、護られる価値も持ち合わせてないよ」
そしてしばらく1人にしてほしいと頼み、的場を部屋から出した。