第11章 かけられた呪い
『ぐ…おぉぉおあぁぁ…』
ヒュッと何かが風を切る小さな音の後、妖の呻き声が辺りに木霊した。
〘何が…何が起こった…!?〙
妖自身にも、何が起こったのか理解出来なかった。
一瞬。
そう、まさに一瞬だった。
的場が得意とする弓。彼は今の一瞬で妖が潜む所へ矢をピンポイントで命中させたのだ。
『き、貴様…!貴様ァァ…!』
「さぁ、早く彼女にかけた呪いを解け。さもなくば次は貴様のその命を貰い受ける」
第2矢を放つ体制に入ると、妖の焦った声が聴こえる。
『わ、わかった…!必要な分は吸収し終えたし解放してやる!』
そして的場はすぐさま的場邸で待機している七瀬に念話を送り、に体温が戻ってきていることを確認し、構えていた矢を放った。
「…これはの分です。彼女の苦しみ、とくと味わいなさい」
『おのれぇ…!祓い屋あああああ!!』
そんな断末魔と共に、妖の禍々しい気配は消え、森には静寂が戻って来た。
そして、的場は急いで的場邸への道を駆け抜けて行った。
愛する者のために…。