第9章 拒絶
すると、咄嗟だったとはいえ効果があったのかギャッと短い悲鳴を上げて黒い靄は霧散した。
それと同時、の身体もまた支えを失ったことでぬかるんだ地面へ倒れ込んだ。
「!!」
的場は段差を降り、服に泥がつくことも気に止めずを抱き起こした。
「……」
しかし、の身体はぐったりと力なく、肌は青白くなっている。抱き起こして触れた事で気づいたが、長時間雨に打たれていたのか身体が冷えきって冷たくなっていた。
これではまるで…――
「いや、兎に角帰らなければ…」
そして的場はを抱え、今尚降りしきる強い雨の中を的場邸へと急いだ。