第4章 お披露目
どういう形であれ、「的場一門」という"居場所"を手に入れて。最初は馴染めずよく逃げ出していたけれど、その度に探し出してくれていたのは主だった。
そしていつの間にか、的場一門から的場静司という人が私の居場所になっていた。
(嗚呼、そうか)
ならば。
そう気づいてしまったのならば、私が取るべき行動はただ一つだけ。
「…皆様お初にお目にかかります。的場一門頭首、的場静司様の式神 妖姫と申します。この度は急なご報告となってしまったこと深くお詫び申し上げます。半妖の私などが名門の頭首と婚約など烏滸がましいと納得のいく方は恐らくこの場内にはいらっしゃらないでしょう」
ひとつひとつ言葉を選び、紡ぐ。居場所を与えてくれた恩に応えるように。
「私としても納得できませんでした。半端者の私が的場一門頭首の婚約者となっていいはずが無い、と。ですが、当代の頭首が決めたことに口を出す事もできません。所詮は飼われている身なれば、私は皆様に認めてもらえるよう精進させて頂きます」
そう言いきれば、的場はの頭を撫でる。
こうなってしまったのなら、此方としても腹を括るしかあるまい。
さすがにこんな方法を取った的場には是非とも一言物申したいが、結果的に居場所は護られた。あとで七瀬からの恐ろしいお叱りを受けることの覚悟もしておかねば…。
しかし憂鬱な気持ちになりながらも、どこかで嬉しさを感じているのも確か。その理由をが知るのはまだ先になるだろう。
こうして会合は的場の爆弾発言で騒がしいまま閉合となり、と的場は帰宅してから七瀬に「相談のひとつでもしろ」とお叱りを受けたのだった。