第4章 お披露目
「彼女を私の婚約者にします」
(はぁぁぁぁああ!?)
少しざわめいていた会場内が一瞬静まり返った。
無理もない。つい先程、数年前から飼っている式だと紹介され、そして唐突なこの流れである。
七瀬たちの方へ視線を向ければ、案の定彼女らも同じく唖然とした表情をして固まっていた。爆弾発言した当の本人はニッコリと清々しい笑みを浮かべて続ける。
「本来ならば的場一門の頭首である私は名のある祓い屋のお嬢さんと結婚し、的場一門の繋がりを広げるべきです。ですが、私は妖姫に出会った時的場の式になる取引としてとある約束をしました」
そう。それはと的場が出会ったあの森で交わした約束。
「訳あってその約束の内容はお話できませんが、その約束を確実なものにするために今回ご報告させて頂きました」
(さっきあの部屋で言ってたことってこういうことだったのか!?)
ヤバイ…!スケールがだいぶデカくなってる!!
さすがに焦りを感じる。それもそのはず、確かに居場所を失いたくないとは言ったもののそこまでのことは望んでなどいない。しかしここで否定をしてしまえば後で何をされるか分からない。主に的場と七瀬に。
「し、しかし…!聞くところによるとその式は半妖なのでしょう?何故そのような半端者を…」
「そ、そうだ!半端者如きが祓い屋の名門である的場頭首と夫婦など…!」
「騙されているのではないか!?」
等と口々に物申す祓い屋達。
(あ…。これ…、前にも…)
――出ていけ!
――出ていけ化け物!
――半端者のクセに!
――お前など生まれて来なければ…!
嗚呼、そうだ。
私には何時だって居場所なんて無かった。