第13章 決勝戦、当日
「…………」
その日は、目覚ましより少し早く起きた
舞花は黙って、机の上を見た
机の上は、綺麗に整理整頓してあった
その机に、ポツリと立つ写真たて
舞花はその写真たてを持ち、中に入っている写真を見た
「………また、この頃みたいに戻れるかな」
誰も答えを返さない静かな部屋が、舞花をジッと見守るだけ
写真の中の自分は、とても幸せそうだった
この後に、起きる"悲劇"があると知らずに……
『舞花、ご飯よー!』
母親の声が聞こえた
「今行くー!」
舞花は、写真を元に戻し、部屋を出た