第6章 俺だけの君でいてもらえるように【ウキョウ】
お腹いっぱいになると、は寝転ぶ癖がある。
今日も俺の隣にごろんと寝転がり、幸せそうだ。
頭を撫でると、甘える猫のように擦り寄ってきて、それがまた可愛くて撫でて……の無限ループ。
「ウキョウさんに触れられるの、とても安心します」
「ほんと? 良かった」
もう、この手は、君に恐怖を与えるものじゃなくなったんだ。
改めてそう感じで、に触れている手に熱が集まる感覚がした。
「……ねえ、」
「はい……どうしました?」
俺の声は、自分でも驚くくらい掠れたような、切なさがこもったような声で。
だからきっとの目に映る俺の顔は、もっとそんな感じなのかもしれない。
が心配そうな顔をしたから、きっとそう。
が体を起こして、「大丈夫ですか?」と顔を覗き込んできた。
その表情は、俺だけのもの?
「……ねえ、は、俺だけのでいてくれる?」
「……はい」
質問に驚いたのか、少しの沈黙があってから、小さく微笑んで返事をしてくれた。
うん……君はそう言ってくれるってわかってたんだ、それでも……。
「あ、もちろん、俺のことが心底嫌いになったとか、世界が変わるくらいに好きな人が別に出来たとかってなったら別だよ、でも……せめて、お互い想い合っているうちは……」
「……」
喋ってるうちに自然と俯いた俺には、の表情はわからない。
今、何を思っているんだろう。
突然変なこと言い出すやつだ、なんて思ったかな。
疑うような質問したから、怒ってるのかな。