第6章 俺だけの君でいてもらえるように【ウキョウ】
「ウキョウさん、お誕生日おめでとうございます!」
「ありがとう、君にお祝いされると凄く嬉しいな」
君といると、心から笑えるんだ。
これまで、自分の誕生日を素直に喜べた日はあっただろうか。
悪夢のような運命に翻弄され、どう頑張っても君とは一緒にいられなかった日々。
それからやっと解放されて。
大切で大好きな君と、誕生日に一緒にいられて、そしてこんな風に祝ってもらえるなんて。
目の前にある誕生日ケーキは、の手作り。
生クリームが綺麗に色付けされていて、フルーツも豪勢で。
君は「初めて作ったから不格好なんだけど」と恥ずかしそうにしていたけど、とても初めてとは思えない出来栄え。
流石、器用だね。
「ケーキ、食べてもいい?」
「うん。……どうかな?」
「美味しい! 今まで食べたケーキの中で一番美味しいよ!」
「それは大袈裟だよー、でもありがとう!」
安堵したような笑顔。
君は優しいから、口に合うかなとか、美味しく食べられるかなとか、きっと色々心配してくれてたんだよね。
「大袈裟なんかじゃないよ。美味しいんだ。も食べよう?」
「じゃあ……いただきます。美味しい~!」
「ね? ……作ってくれて、本当にありがとう」
「ううん、喜んでもらえてよかったよ」
微笑み合って、時折食べさせあいっこをしながら、結局ケーキは二人で全部食べた。