第1章 お前、ほんとバカ 【シン】
「シン! いらっしゃい、合格おめでとう!」
「ちょ……大声出すなよ、恥ずかしい」
俺の第一志望の大学。今日、合格発表があった。
朝、直接大学に行って確認してきたら、俺の番号があった。
すぐに電話して伝えたら、耳が壊れそうな勢いで「おめでとう!」って。
俺自身、試験に向けてすげー必死になって頑張った。
でもそうできたのも、コイツがいたからだし、色々支えてもらった。
コイツの笑顔が早く見たくて、電話の後すぐ家に来た。
「飲み物は……メロンソーダがいいんだよね?」
「今日はコーラの気分」
「ふふ、そんなこともあるかと思って買っておきました」
「なんだ、あるんだ」
コイツにしては準備がいい。
てっきり「え ! ? ごめん準備してないよ……」とか言うかと思った。
だんだん勘がよくなってきてるみたいだな。
「なんでがっかりしてるのよ」
「別に」
飲み物を注いだコップを二つ持って、慌ただしげにキッチンから戻ってきたは、俺の隣に座って、キラキラした目をしてる。
なんか、いい。
「シン! 改めて、合格おめでとう!」
「うん、ありがとう。お前に感謝してる」
「ううん、シンが一生懸命になって頑張ったからだよ」
それはそうだけど、そうさせてくれたのはお前。
試験勉強に付き合ってくれたし、俺の息抜きにもなってくれたし、癒しだった。
俺一人でも、合格は出来たかもしれない。
けど、やっぱ気持ちの面で色々と違う。