第3章 絶対に、待っててね【オリオン】
「オリオンは、優しいね。いつも私を守ろうとしてくれた。社での火事の時も、一蓮托生だって、感覚を切らないで……苦しかったはずなのに」
「……一番苦しかったのはキミだよ。直接ダメージ受けてたんだから」
「でもね、オリオンが一緒にいてくれて、凄く心強かった。本当に、沢山守ってもらった。それなのに、今も私を守ることを考えてくれているんだね」
……そんな泣きそうな顔で言わないでよ。
毎日不安だったんだ。キミがいつ目を覚まさなくなるか。
今日も笑って過ごせるか。記憶が戻るか。
でもキミは、運命にちゃんと立ち向かってここまで来た。
キミを守ったのは、ボクじゃなくて周りの人達だったよ。
だから今度こそ、僕のこの手で守りたい。
大切なキミを、ちゃんと守りたいよ。
「オリオンがいいなら……私これからも、オリオンに守ってもらいたいな」
「ほんと? ボクでいいの?」
「うん。オリオンがいいよ」
ボクは人間になれた。けど、いくら頑張ってもあの時ほどの傍にいられない。
だって、精神が離れてしまっているんだから。
どうしたら、どうしたらもっと傍で守れるかな。
……まだ、こんなボクじゃ全然ダメなんだ。
もっと歳を重ねて、心でも体でもキミのことを守れるようになりたい。
「、ボク、頑張るよ。キミをちゃんと守れるように。でも、ボクはまだ小さいから……だから、もう少しだけ待っててくれる?」
「うん、わかった、待ってる」
「絶対に、待っててね?」
「うん! 約束」
キミと初めて交わした指切りは、暖かくて、どこかくすぐったかった。
~End~