第7章 君の相手をこの俺に
東峰が好きだと言うのは変わりないがこの気持ちが恋愛からなのかはもう分からない。ただ、東峰の事を考える日は増え、ちょっと弱々しいところも、優しいところも、背格好も、ダメなところも含め良いと思う。可愛いと思う。そりゃ菅原達と居る時も面白いし楽しいが、
(東峰の方が良いんだよね・・・)
そう思いながら、明日どうやって切り出そうかと考えていたらいつの間にか眠ってしまい、次の日、
「はよ」
と現れた東峰に
「お、おはよっ!」
と驚き返す名
「ど、どうしたよ」
「ご、ごめん」
驚かすなよーと自分の席につく東峰を見送る事しかできず女子友達からしっかりーと合いの手が入る。
(相手役を頼むのがこんなに気合いがいるイベントだったとは・・・・)
皆はなんで早々に決められ、東峰なんて自分から言ってきたのに
(大変じゃなかったの?てかどんな心境だったの!?だって、だって男女で出るってことは)
そう、そう言う事だ。二人にその気はなくてもそうなってしまう。それを東峰が知らない訳はない。
(え?知らないの!?し、知ってた上でそれでいいの!?)
と授業中あわてふためいている名を見て心配する東峰。そして授業の合間も話すタイミングがなく昼休みになり
「今日のお昼は家庭科室です!」
と伝える。なんで?と言った顔の東峰に
「い、いいから」
と無理やり連れていく名。途中澤村達に会い
「伝えたん?」
「う、う、うーううん」
「は?なんで伝えてないの?」
「た、タイミングが・・・・」
「まぁ、家庭科室行けばすぐに分かるか」
「馬鹿、大地、こーゆーのはちゃんと名から伝えないと」
「え?あぁ、そっか。そう言うもんか」
そうだよ!だって旭からの申し出ってそう言う事だろ?名はそんな気なくてもやっぱりそこは名から言ってあげてほしい、そう思っているのにあの女は
「東峰ー!」
今すぐ伝えてくる!と東峰の元へ行き、家庭科室の前で
「相手役、お願いします!」
と手を出し、頭を下げていた。いやいやムードとか、雰囲気とか、もっとこうあるじゃん!と突っ込みたいところだが、言ってしまったことはもう仕方ない。
一方、恐る恐る頭を上げてみた名は
「いいのか俺で」