第6章 始まったもの
「「名を誘った!?」」
その日の昼休み、澤村達に昨日の事を伝えると驚いた反応が返ってくる。
「そうなんだけどさ」
「名休みなのか」
「やっぱ俺に言われてショックだったのかも」
「あー・・・ってそれは無いから!」
だってそうだろう、どう見たって名は旭が好きで、旭も名が好きなのにお互いなんでだか、どうしてもすれ違っていたのがまさかの旭から仕掛けるなんて予想外だし、やっと進展するっていうのに
「なんで休んでんだ名は!」
「確かに、旭連絡したんだろ?」
「まぁ、したけど既読スルーで・・・・」
「「・・・うわー」」
「やっぱり俺っ」
「ねーから!」
全くあの小娘は一体何をしているのか。この旭から誘うなんてそうそう無いってこの期間中に分かるだろ!
「スガ、押さえて押さえて」
「あぁー!なんで休んでるんだあいつー!!」
「やっぱりっ!!」
「旭うるさいっ!!!」
放課後になり、部活に励み、帰り道にある家庭科室が今日は暗いこと、相変わらず既読しかつかないスマホの画面を残念に思いながら東峰は帰宅し、再び連絡を入れれば今度は全く反応がないことに凹みながら眠りについた。そして次の日も名は学校を休み
「今日もか」
とすっかり肩を落とした東峰に言う澤村。
「連絡もつかねーんだ」
と苦笑いする東峰。
「心配だな。俺もしてみたけど既読すらつかなかった」
と言う澤村に
「てかさー、旭は名がOKしてくれたらそれでおしまいなの?」
と菅原がつっこむ
「うっ・・・」
「考えてなかったのか」
菅原は弁当の箸を進めながら続ける
「だって名はOKしてもあくまでも相手役だろ」
「・・・」
「そこまで来たら告白だろう」
澤村がそう言った途端
「むり!むりむりむり」
「そんなんじゃ音駒すら倒せないぞ!」
「いや、そこ関係ないだろ」
「あるだろ!気合い的な意味で!」
「えー」
そんな帰り道、この申し出が断られそうな事から告白する気はなかったから考えてもなかった事に気づく。言われてみれば申し出は告白ではないし、申し出を受け入れてくれるのは付き合うことにはならない。だからと言って、あの、とても緊張して言った気分をまた感じないといけないのかと思うと告白する前から気分が下がってしまう。