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【HQ東】君の相手をこの俺に

第6章 始まったもの


と着替え終えた名がカーテンと窓を開け、中へ招き入れる。
「今かたすから」
先程のドレスはトルソーにかけられ、東峰の目の前では縫製道具をしまう名。
「見られちゃったね」
恥ずかしい、皆の前で歩けるかなぁと照れ笑いする名。少し乱れた髪と夏服姿。共に家庭科室を出ると生暖かい空気の中に夜風が気持ちよく吹く。隣で他愛もない話をする名だが東峰は先程から名のドレス姿が忘れられない。
「名は結局、ドレスの相手どうするんだ?」
そうきくと
「誰かに頼むしかないよねー。まぁ、一人でも良いんだけど。」
エスコート役のために作った衣装は菅原のためで、そんな菅原に断られたら他にあてもないので着るだけだと思っていた名
「けど、やっぱり菅原かな。良い返事くれるかな?」
と少し寂しそうに笑いながら自分を見てくる名を見て
「俺が」
「え?」
「相手役は俺がする」
と口走っていた。
名が菅原を選ぶならそれでも良い。別に二人の間に恋愛の文字はないし、菅原は友達だ。名もドレスを出すと言う点ではちゃんと目的が果たせる。けれど、当日、あのドレスを着て嬉しそうにしている名の隣を菅原が歩いていると思うと嫌だと思うし、高校中に色恋はしないと決めたり、菅原用に衣装もできてるからと理由をつけていたが限界だった。だから
「相手は俺がする」
そう言ってしまった昨日。クラスの戸が近づくにつれ脈拍が上がっていくのがわかる。
相手役を生徒同士でやる時は大概がカップルで、こんなの好きだと言ってる様なものだと思う。そして昨日、二の次に出た言葉は
「あ、いや、別に名が嫌だったら良いんだ。俺じゃ相手役の着れないし、また1から作るのも大変だろ。い、今のはうい、違っ、つい」
と、どうしようもないものだった。その間名は黙ったままで東峰が落ち着くと
「ちょっと・・・考えさせて」
とだけ言った。全く脈がない訳ではないのか?と思う反面、もしかしたら本当は他に候補が居たのかもしれない。緊張しつつクラスに行くと名はまだ来てない様で
(落ち込ませた?!そんなに俺に言われたのショックだった!?)
と後悔しながら席に着き入口を気にしていたがその日名は学校を休んだ。
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