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【HQ東】君の相手をこの俺に

第6章 始まったもの


とそれを聞いた菅原が笑う。その日の帰り道、相変わらず家庭科室の電気はついており、今日は教室の半分にカーテンが引かれているのにいつもの窓の鍵は開いてたので
「名迎えに行ってこいよ」
と東峰に促せば、いつもなら恥ずかしがってしまうのに
「先行っててくれ」
と今日はさっと名を迎えに行った。
「なんか、旭変わった?」
「でも良い変わり方じゃん」
と、その後ろ姿を見送りつつ二人は夏終わりの部活後のだいぶ暗くなった帰路を先に行った。
(スガが相手をしたとしても、まぁ周りから見たら付き合ってるとか噂されちまうけど、けど名が好きな相手って訳ではないし、いや、けど一緒にいてたらそういう感じになったりするかもしれない?うわー)
と思い立ち
「名入るぞー」
と家庭科室の窓を開けると
「ちょっ、ちょっと待って」
と聞こえた時にはもう遅く、負圧で窓を開けた途端に風と共にカーテンが外に飛び出し、
「きゃっ」
という小さい悲鳴とカーテンのはためきが落ち着いていくのと一緒に白い生地がはためくのが見えて、その色を追っていくと、両肩を隠しおさえて恥ずかしがるドレス姿の名がいた。昔に見た時よりも装飾もボリュームも増えたドレス、あの時は頭も軽く結っていたのに今日はおろしたままで、しゃがみこみ恥じらう姿でもそれはぐっとくるものがあり
ドサッ
と東峰は見惚れて、つい荷物を落としてしまった。そしてはっとして
「ごめんっ!!!」
と真っ赤になりながらカーテンを閉め直し、自分も外に出た。頬が熱い、自分で自分の顔が赤くなっていることが分かる。
「東峰?」
ひょこっとカーテンとカーテンの合間から顔を覗かせてきた名に
「すみません!何も見てません!嘘ですっ!見ましたっ!すみません!!!」
と大焦りの東峰。
「窓の鍵忘れたや、ごめんね。ちょ、ちょっと待ってね。」
とそれでも窓の戸を閉めても鍵を閉めないでいる名の自分への警戒心のなさに凹みつつ、あの姿で居る名の隣を自分の友人とはいえ菅原が歩き、周りから噂されてしまうのかと思うと胸が痛む。あんなに綺麗なのだから、自分が隣を歩いて見せびらかしたい。けれど名が誘ったのは菅原な訳で
はぁ
と先程の興奮が一気に落ち着いてそんな事を考えていると
「ごめんねぇ」
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