第1章 気になる君
そう言っていた矢先、名は途端に放課後残らなくなり、授業後すぐ帰宅するようになった。
「最近残んねーな」
いつもの朝、そう名に声をかけると
「終わらないの!」
「え?」
「終わらないんだよー」
と机につっぷして伸びる名。話を聞くと昼は家庭科室、放課後は早々に帰宅して家でやっていた。
「屋上とか気持ち良いぞー」
気分転換のためにもとそう言ってみたが
「・・・・うーん。」
とあまり乗り気でない名に
「ちゃんと飯は食えよ」
そう頭を撫でてから席についた。最近、朝来ると宿題をしていたのはそのせいかと納得し、昼食の時間には屋上で澤村達と落ち合う。暫くすると
「あ」
「あ、名。おーい」
購買にでも行ったのだろう、名が遅れて屋上に現れ、声をかけると手を振り替えされ、1人、空いてるスペースに座り菓子パンを頬張る。その次の日も名は屋上に現れ、また菓子パン。そして、チャイムぎりぎりまで仮眠をとるのが屋上での過ごし方になっていた。
「ろくなもん食べてないなぁ」
そんなある日、東峰が名を見ながら言うものだから
「てか旭、誘えば良いじゃん」
「な、なんで俺なんだよ」
「だって旭同じクラスだろ」
「えぇぇ」
へなちょこだなぁと言いながら菅原が名に声をかけて手招く
「一緒にくおー」
すると名は一瞬戸惑いながらも昼食を持って東峰の隣に座った。