第1章 気になる君
そして、シャツが残すとこ釦つけとなり、並行して授業中終わらなかったドレスの裁断を家庭科室を借りて放課後に行っていた。
「あとこのパーツだけ・・・・!」
ドレスはパーツが大きいので良くも悪くも裁断に影響する。
「なーにぶつくさ言ってんだ名ー!」
「わ!」
家庭科室の出窓をあけて現れた菅原に驚く。
家庭科室は男バレの帰り道の途中にあり、明かりがついていたのが見えたそうだ。
「もう清水も帰っちゃったし、名も帰れよー」
そう言われて下校時間な事に気づき、菅原と挨拶をかわし裁断を諦め掃き掃除を始める。
菅原が東峰達の所に戻ると
「苗さんまだ残ってたのか」
と澤村。
「なんか今度は布切ってた」
「好きだなぁ」
東峰がそう言って一瞬変な空気に。
「ち、違うからな!好きっていうのは名が縫い物をって事だから!」
「分かってんよー」
沈黙に耐え切れず予想通りの反応をした東峰に可笑しくなる2人。
「でも本当に、俺達も大概だけど名も縫い物ホント好きなー」
「本当、俺達もだけどな」
「だなー」
好きなことを好きだと言うのは時間がかかる。
技を自分のものにするためには常に頭をつかって、ただ練習するだけでなく、欠点や改善点を見つながらまた練習して物にしていかなくてはならない。
ふと東峰が後ろを見ると家庭科室の電気が消えた所だった。