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【HQ東】君の相手をこの俺に

第6章 始まったもの


そんな夏休み明けはすっかり学園祭モードで色づく校内。教科での発表があったり、クラスで参加したり、有志で参加したりと参加方法は様々で、部と委員会とで掛け持ちの子もいたりする。そして、被服専攻の子達は放課後、相手役の子に作った作品を着てもらい裾あげや、ウエストを詰めたりとのフィティングが行われていた。
「名相手どうすんの!?」
「いやぁ」
「凄いの作ったんだから一人じゃもったいないよ!」
「いやぁ、相手ねぇ」
と周りの子達にも催促されだし、
「男バレと仲良いなら頼んじゃいなよ」
「そーそー。一年生で背高い子とか格好いいじゃん!」
「私影山派ー!」
きゃっ、きゃっと盛り上がる話に三年生にも人気とはなんて罪作りな奴等だと思いながら、好きなものを話す女の子の姿は可愛いなとしみじみしてしまう。
「菅原でも良いと思うし」
「相手見つけるんだよー」
と皆相手のフィッティングが終わると一緒に帰ってしまうので、結局最後には名だけが残ってしまい
「じゃぁ苗さん、ミシン気をつけてね」
と先生も慣れた手順で職員室に戻る。夏休みが明けてから、課題を提出し、残るはドレスだけなのでひたすら飾りつけをしていた名。そして夏休み明けも相変わらず
「名帰るべー」
と菅原達が帰りを誘ってくれるのと、夏休みのおかげで清水とも仲良くなり、時たま清水が誘ってくれることも増えた。
「そろそろ終わりにする!」
といつもの昼休み急に名が言い出し、周りが仕上がったかとの顔をする。
「きりがない!」
「あ、そゆことか」
「長かったなー」
「で」
「で?」
「誰にすんの?」
途端にきょとんとする名の表情。
「あれ、まだ決まってなかったのか」
と澤村
「へ、へぇ。もう決まったかと思ってた」
と東峰
「まぁ、一人で出るのも格好いいか」
と菅原が納得した様に一人頷く。
「そうだねぇ」
と当の本人は上の空で
「なんかドレス終わるとやる気が」
とのんきに笑う。
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