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【HQ東】君の相手をこの俺に

第1章 気になる君


次の日、
「おはよ」
と名に挨拶をすると、少し不思議そうな顔をして「おはよ」と返される。普段からそんなに話さないのにいきなり挨拶をして変に思われた?!と焦れば
「東峰達遅くまで練習大変だね。無理しないようにね」
と、いつも難しい顔をしていててっきり付き合いにくいのかと思っていたのが普通に話せてほっとする。
「おす」
「おはよ」
すっかり挨拶が当たり前になった頃。名はワイシャツの釦つけ手前、衿元につける刺繍を行っていた。昼食時、名が屋上でパンをくわえながら手を動かしていると、明るかった手元に伸びる人影。その人影はなかなか退く事がなく不思議に思って顔をあげると
「メシくらいちゃんと食えー」
と苦笑いの東峰。今自分はスティックパンをくわえ、膝掛けをしてるとはいえあぐらをかいて、なんとも言えない状況で手も声も出せずただただ羞恥心がつのった。
「あ、旭がナンパしてる!」
「へなちょこもたまにはやるなー」
そのタイミングで屋上に現れた男バレ3年。
本音を言うと集中したいのだが、自然とその場で溜まりだしてしまい一緒に昼食をとる事になった。
「名さっきなにやってたの?」
菅原とはあれ以来、去年よりも仲良くなり親しく呼びあう程になり
「刺繍してた」
「刺繍?」
「授業で作ってるやつの」
と物を見せて説明する。
「それ自分で作ったのか?マジか!」
「すごいな名」
澤村と菅原が驚く。縫う分には簡単だがそう言われるとなんだか嬉しくなってしまう。
「けど、昼飯はちゃんと食えよ」
と5本目のスティックパンを頬張る名の頭を撫でる東峰に
「うわー、旭それセクハラだぞ」
「お前清水相手じゃできないだろ」
「ま、まぁそうだけどっ。ご、ごめんな名」
と言われ、その後もさんざんの言われように、当事者である名は何も言わず
(やっぱり東峰は手も大きいな)
といじられている東峰を一緒に笑っていた。
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