第4章 最後の思い出1
「名、珍しいなー」
「なー」
その様子を見ていた菅原と東峰、
「こっちも始めるぞー」
「ウィース」
そうして練習後、体育館が閉まるまでひたすら練習を行い
「腹減ったー」
と練習後、食堂に向かう途中に大きな鞄をしょった名を見かける。大きな鞄、ファスナーの合間から覗く白い生地
(あぁ)
「あー!」
と東峰が察しがついたなと思うと隣で菅原が大きな声をかける。びくっと肩を震わせてこちらを見る名に菅原は
「それここまで持ってきたのか!」
と一言
「きょ、今日は家庭科室あけてくれる日で····」
練習をさぼった訳ではなくてと言い訳をしている名を囲う烏野メンバーの横を小鹿野達森然メンバーが
「ちゃんと綺麗にしとけよー」
「家庭科の先生怖いんすよねー」
「あ、今年もまた持ってきたのか」
「好きですねぇ」
と口々に言って通り過ぎる。そして食堂では
「あーやっぱり」
と音駒のメンバーも同じような反応だった。
「やっぱりなんだ」
「俺らの場合は合宿に変なやつ居たぞって先輩達からきいてた」
と笑う夜久。
「毎年開けてもらってるみたいだしな」
「しかも森然の先生に習う程に」
「もう知り合いだもんな」
「なー」
と笑う男子達の一方で
「だって」
と大滝
「····聞こえてる」
「名は変なポジションだもんね」
「来年も居そ~」
と梟谷マネージャーズに言われ、来年はさすがにと思っている横で
「そそそそしたら私がとても心強いです!!!!」
と谷地の言葉が名と梟谷グループマネズ達の跡継ぎ問題にぐさりとささる。
「まぁ、猫又先生に怒られてもよく来るわ」
「本当にね···」
自分でも不思議なのだが、昔猫又先生に中途半端なのは他の生徒に失礼にあたると怒られた事がある。その頃の私はもっとマネージャーの仕事をがっつり行っていたが相変わらず家庭科室にこもる事もあり、中途半端になって怒られたのだ。以来雑務のみに徹底し、時間がある時は試合を見せてもらい、家庭科室には練習後だけにし、どちらも捨てられず未だに来ている。
「おかげで代々のマネからは助かってるけどね~」