第4章 最後の思い出1
と叔父に連れられ、小鹿野達が中学生の頃の試合にすら行っている。その時から目をつけていた子達が今の森然のチーム。音駒のチームも黒尾達が居ない頃から知っている。そうやって毎年、毎年、色んな代のチームを見てきた勘がそう言った。
「じゃぁ、俺らもやっかー!!」
「「ファイトー!」」
と音駒が森然と交換になり、大滝と共に森然にエールを送る。丁度その時もう片方のコートでも烏野の試合が終わり、音駒との入れ違い際に
「俺もってか?」
と名達を見ていた東峰を笑う黒尾に
「いやぁ、顔に出てるか?」
と素直に返せば黒尾の毒気も抜け
「まぁ、なんだ。相手があれじゃ全く気づかねーだろ」
まぁ今はそれでいいんだと笑う東峰のコートに入れば一変する集中力の切り替えの凄さよ。
「ホント、別人だぜ」
「東峰は強いからね!」
いつの間にか寄ってきた名に
「別に東峰とは言ってねーけど」
と笑えば名は焦りまくり、都合が悪そうに逃げていく
(あいつも満更じゃねーってか?)
その姿に面白くなる黒尾。
「嫌な笑い方してるよクロ····」
「イシシシシ、だって面白れーだろ」
「可哀想名」
「臨時マネージャーを可愛がるのも俺達の使命でしょー」
「いや、それ意味わかんない」
そうして烏野の試合が始まり、応援もせずただただ見守っているだけの名を不思議に思い
「キャー!頑張ってー!!とかやらねーの?」
「やらないよ。私、今梟側だから」
「律儀な奴」
別に構わないだろと思うが、同じグループ、このメンバー達を大事に思うからこそなのかとも思う。名同様、黒尾達もこの2年間名には遠征の度世話になっている。
(嫁にやる気分的な?···。)
と、その自分の年老いた思考に凹む黒尾
「クロ、何か変じゃない?」
「大丈夫、そっとしといて」
呆れ顔の弧爪と不思議そうにしている名はそんな黒尾を放って次の試合までの練習に励んだ。そうやってその日の練習も終わり、珍しく
「名ー」
「無理ー!」
「おい無理って!あ、こら!!」
と音駒の方で名が颯爽と練習を上がる。
「ふられちゃいましたね夜久さん」
「はぁ、まぁいいや」
「え名さんはいいんすか?!」
「やっぞー」
とリエーフを放って自主練習が始まる。