第3章 想うのは君の事
ふと、後ろを覗くと真剣に授業をきく東峰の姿。その姿は今考えていた自分の思う東峰とは別人で、東峰と目が合うと頬を緩ませ、前を向けと言わんばかしにペン先で黒板を指された。
(真面目な顔は好き····かもしれない)
そう思い、帰りがけにこっそり部活を覗きに行ってみれば大きい声でのかけ声、ボールが叩きつけられる音。
(だ、男子がいっぱい)
かけ声だけで内心驚きの悲鳴が上がる。
「あれ苗さん」
「清水さん····」
はぁ、女子の中でも綺麗だわと染々してはっとする
「部活の邪魔してごめんなさい」
そう言うと清水は大丈夫とだけ言って名の横に立った。
(あんな猛者達相手に清水さんは堂々としていて凄いな)
そう思っていたら口に出ていたようで
「猛者って」
と笑う清水さんも素敵だと思っていたら
「東峰?」
と核心をつかれる。それと同時に東峰が打ったサーブでもの凄い音がする。
「その猛者達の中の猛者かもね」
そう言う清水と共に、歓喜している東峰を見る。いつもとは違った頼りがいのある姿
「普段はあぁだけどね」
と笑う清水につられて共に笑っていると
「うわっ」
と東峰の声
「今のは集中してないから減点ね」
少し怒った様子の清水とは裏腹に、いつもの東峰が驚きながらこちらを見ている。邪魔して申し訳ない気もしながら、気がついてくれた事も嬉しく手をふり清水に詫びを入れて名は体育館を後にした。たっぱの良さ、がたいの良さ、人の良さ、頼もしいところも、頼りがいがないとこも、真剣にしている時の表情も
(どれをとっても素敵だ)
そう思ってしまえばもう気になる人への感情は恋愛に変わってしまうだろうか
(東峰なら良いお父さんに····まぁ、小学生相手だったらなりそう)
と自分の中の東峰のイメージと先ほどの部活で見た東峰のギャップに笑えてしまう。