第3章 想うのは君の事
東峰を好いたとして思うのは東峰の邪魔をしないこと。清水との話にもあったが春高という試合をこの三年生の時期に目指しているのは相当の事だ。
(けれども)
「おはよー」
「おはよ、部活お疲れ様」
「昨日はびっくりした」
と笑う東峰はいつもの東峰で、あのギャップがたまらんと思う名。
「来週また行くの!?」
その日のお昼休み、3人が話しているのを聞いて驚く
「まぁ今度は東京っていうか埼玉なんだけど」
「また梟谷グループとな。有り難い事だ。」
「埼玉だから森然だっけ?」
三人が話すなか名が問う
「森然なの?」
「梟谷グループの1つだからな」
そう言う澤村に名は少し戸惑った表情をしていた。そして次の日とうとう終業になり夏休みが始まり、さっそく遠征に向かう烏野。練習試合はぼろぼろの負け続け
「くそーっ!!」
「ゴー!」
澤村の合図で裏坂をかけあがるペナルティ。何度も何度もやっているとこれだけで疲れてしまう。
『行ってらっしゃい』
そう見送ってもらった分
「頑張らねーとー!!」
「ホントっ、旭の中での名の効果!」
「絶大だな!!」
そう澤村と菅原に言われながら練習に励んでいく。そして次の日。清水達マネージャーが休憩の支度後、体育館に戻ってくるとじっと東峰を見る清水に気づいた菅原。
「どうした清水?」
「菅原····」
そして清水が言った事に
「あー、それはじっと見ちゃうわなぁ」
と苦笑した。それからすこし経ち
「父兄からの差し入れでーす」
と休憩になり、各校のマネージャー達がスイカを運んできた。
「はい!」
「サンキュー名」
「名さんありがとうございます。」
始め、森然校側で何度も聞こえるその名前に、森然校のマネージャーは同じ名前なのかと思っていた烏野メンバー。しかし、
「真子ちゃーん、こっちなくなっちゃったー。」
「あ、名、こっちまだあるよー」
と森然校のシャツを着たマネージャーと話すその私服姿の女子生徒は明らかに自分達の知る名で
「苗?!」
澤村がそう言うと、
「あー、そういや苗の奴烏野だったな」
としれっと黒尾が言う。
「監督の親戚なんだそーだ」