第2章 優先すべき事
だがその日はその前に図書館へ。アクセサリーの参考になるものはないかと思い挿し絵の多そうな本を探す。歴史の本は洋服が載っていて面白い。
(バッスルは無理だけど変わりに後ろにリボンつけるのも良いな。上がシンプルな分、下はボリュームあっても問題ないし)
ウエストがきゅっと絞られ、後ろにワイヤー等で型どったものに生地を被せ後ろにボリュームを出す。だが、型を作るのは大変なので、固めの芯を使えばリボン位ならボリュームが出るだろう
(周りをビーズで飾ろうか)
そのアレンジを考えながら、昔、東峰にビーズを拾ってもらった事を思い出す。
(あの時のビーズなら大きめだし目立つし本当に良いかもしれない)
『綺麗だな』
男子があんな事を言うとは、ましてや運動部の人がビーズを見て綺麗だなんて感性を持ち合わせているとは失礼だが思っていなかった。
(澤村君も菅原も東峰と比べると小さいけど背は充分だよね。)
背が高い分何を着ても似合いそうだと本に載ってる女性の隣に居る紳士達の姿をした彼らを想像する。
(格好いいだろうなぁ。あぁ、ドレスも無駄に拘らなければ終わるんだよな。)
あぁ、自分の首を締める様な考えが浮かんでしまう。隣を歩く人が彼なら良いなと思ってしまう。縫うだけならパンツは簡単だ。ジャケットを作るなら、
(寸法を図らせてもらおう!)
今日また彼等が家庭科室に来たら頼んでみよう。そう思い立って名は図書室を後にした。しかし、その日に限って男バレは現れず、次の日も来ない。まぁ、それもそのはず
「試験勉強・・・」
「苗お前全くしてないな」
「よく家庭科室開けてもらえるなぁ。いいなぁ。」
しびれを切らしたそのまた次の日の昼休み。
全く忘れていた訳ではないと言うのは言い訳だが、頭は服の事で頭がいっぱいだった。