【HQ】岩ちゃんが男前過ぎて今日も私は死にそうです
第2章 女の子
「次、徹のサーブじゃん!」
「このまま試合決まるんじゃない?」
「何当たり前の事言ってんのよ、ちー!」
強烈なサーブ。まるで大砲みたい。真っ直ぐリベロ目掛けて打たれたボール。
「西谷ァァ!」
拾われる…!?そう思ったのも束の間、烏野のリベロは体を横にズラし、ボールを躱した。
「え…?アウト?」
及川くんのサーブミスにより、烏野がマッチポイントを迎えた。これってマズい…?このまま青城崩れる?嫌だ。もっと青城の試合を見てたい。皆頑張って。負けないで…!
緊張した雰囲気に包まれ始まったラリー。後が無いこの局面で二枚ブロックを撃ち抜き、岩ちゃんのスパイクが決まった。
「これでチャラな。どっちだって同じ一点だ。」
うわあ…!岩ちゃんカッコ良過ぎかよ…!及川くんのサーブミスによって下がった士気を上げ、及川くんのミスをフォローする心強い言葉に思わず項垂れた。
「郁、大丈夫?息してる?」
「…いや、無理。死んだ。」
────カッコいい。カッコ良過ぎて直視出来ない。岩ちゃんがカッコいいのは初めて会った時から分かってた。けど、改めて思った。岩ちゃんは見た目だけじゃなくて中身もカッコいい。
少しだけ顔を上げ、コートを見れば岩ちゃんの真剣な顔が見えた。ただ、そこにいるだけなのに、いつも以上に岩ちゃんが輝いて見えた。その表情を見るだけでドキドキする。試合の行方を見守るドキドキじゃない。今まで感じた事の無いドキドキ。────いや、違う。今まで私は何度も感じた事がある。初めて岩ちゃんに送ってもらった時。コンビニで岩ちゃんと会った時。他の人じゃ感じないこの気持ち…私、岩ちゃんに惹かれてるんだ。友達としてじゃない。…男の人として。