【HQ】岩ちゃんが男前過ぎて今日も私は死にそうです
第2章 女の子
家に帰ってからは特にお兄ちゃんは何も言ってこなかったけど、顔を合わせれば、何を言うわけでもなく、ただ、ニヤニヤした目付きで見てきて不愉快極まりなかった。部屋に戻り、一人になれば、こないだと同じく岩ちゃんに言われた言葉がぐるぐると頭を回ってなかなか寝付けなかった。
そんな状態で迎えたインターハイ予選二日目の朝。準備を済ませ家を出ようとした時、岩ちゃんの応援頑張れよと昨日同様ニヤニヤした顔でお兄ちゃんに見送られ、玄関先で喧嘩になった。
「アンタら朝から仲良しだね。外に声丸聞こえだから。」
家の外で待っていたちーちゃんにそう言われた。
そして、昨日と同じく、ちーちゃんと共にバスに乗り、仙台体育館に向かった。会場に着くと、今日もみのりんは遅刻する事無く、遅い!と一声漏らし、張り切った様子だった。
体育館に入ると、昨日よりも更に観客席は熱気に包まれていた。そして、昨日にも増して、及川くんへの女の子の声援が凄い。それに負けじとみのりんも声を張り上げていた。
「郁、今日は岩ちゃん頑張ってって言わないの?」
「言わない!」
「えー!?何で!?」
コートに視線を戻すと、ウォームアップをしている岩ちゃんは何やら及川くんと揉めているようで、チームメイトの男の子に腕を掴まれていた。その微笑ましい光景に思わず笑みが零れた。
「てかさ、今日の徹達の相手。えっと…トリノ?強いの?」
「烏野。トリノはイタリア。」
「昔は烏野男子バレー部って強豪って言われてなかったっけ?ほら、丁度蒼くんが高校生の時。」
「確かに昔はそう言われてたみたいだけど、今は分かんないや。女子はまあ、普通って感じだったけど。」
「じゃあ今日も徹達余裕そうだね!てか、蒼くん大きくなった?」
「こないだ1mm縮んだって騒いでた。」