【HQ】岩ちゃんが男前過ぎて今日も私は死にそうです
第2章 女の子
「おい。」
お兄ちゃんに手を引かれ、何故かお兄ちゃんの背中に庇われた。
「ガキが一丁前にナンパなんかしてんじゃねーぞ。」
私より背の高いお兄ちゃんだけど、一般的にはお兄ちゃんも私と同じく大分小柄で、岩ちゃんの前に立つお兄ちゃんは余計小さく見えた。
「お兄ちゃん違うから!友達!」
「あ?なんだよ?ダチかよ!」
「岩ちゃん、これ、私のお兄ちゃん!」
岩ちゃんはお兄ちゃんに会釈をし、岩泉ですと短く挨拶をした。
「まあ、こんなちんちくりん好き好んでナンパなんかしねーわな。」
お兄ちゃんに乱暴に頭を撫でられ、乱れた髪を直した。いや、まあ確かに同年代の子と比べたら子供っぽいとは思うけど、岩ちゃんの前でちんちくりんとか言わなくたっていいじゃん…!岩ちゃんがいる手前、いつもみたくお兄ちゃんの言葉に反論出来ず、唇を尖らす位しか出来ないのが悔しい。
「永野は普通に可愛いと思いますけど。」
岩ちゃんの言葉に私もお兄ちゃんも呆気を取られた。今、岩ちゃんなんて…?か、かわ…!?漸く追い付いた脳みそがフル回転すると、急に顔に熱が集まった。
「こうやって永野とダチになったのだって、そもそも俺が、」
「い、岩ちゃん!ランニングの途中だったんだよね!?引き止めてごめんね!もう遅いし、明日の試合に備えて今日は早く帰った方がいいよ!うん!私ももう帰るし!」
岩ちゃんの背中を強引に押した。初めて触れた岩ちゃんの背中は思いの外広くて、筋肉で締まった、スポーツマンの体だった。自分とは違う体の作りに羨ましいと思うよりも先に、何でだか、触れちゃったという恥ずかしさが勝った。