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【HQ】岩ちゃんが男前過ぎて今日も私は死にそうです

第2章 女の子


「クソ川!てめぇいつまで油売ってるつもりだ!」


 女の子に囲まれニコニコと笑みを浮かべていた及川くんの表情が遠目から見ても凍り付いていくのが分かった。


「いや、今戻ろうと思ってた所だったんだよ?」


 女の子達を掻き分けて、及川くんの所まで行くと、及川くんの耳を掴んでそのままスタスタと歩き出した岩ちゃん。痛い、離してと言う及川くんの言葉には一切耳を傾けなかった。


「岩ちゃん!」


 私の声に反応して振り返ってくれた岩ちゃんに手を振った。


「岩ちゃん今日凄くカッコ良かったよ!また明日応援に来るから!頑張ってね!」


 顔の前で握った拳に応えるように、岩ちゃんも拳を握って返事をしてくれた。その時見せた真っ直ぐな笑顔に胸の奥がきゅんとなった気がした。


「徹、私も明日応援来るから!」


 みのりんのそれに苦悶の表情を浮かべながらも手を振り返した及川くん。それが気に入らなかったのか、岩ちゃんと及川くんの姿が見えなくなると、及川くんを囲っていたファンの子達から悪意のある視線を向けられた。ヒソヒソと話す悪意の言葉に、及川くんの人気者っぷりを改めて思い知らせたような気がした。


「陰口叩く暇があんなら、羨ましがってないで自分から距離を縮める努力しろってーの!」
「みのりん!」


 悪態をつくみのりんの頬を摘んだ。
 私だってみのりんと同意見だけど、みのりんの言い方じゃ反感を買うだけだ。こんな事が原因でみのりんが女の子達に呼び出しでもされたりしたら…なんて考えると気が気じゃないよ。思った事を包み隠さず、ストレートにぶつけるのはみのりんのいい所でもあるんだけど、それは同時に悪い所でもある。


「及川くんを応援したい気持ちは皆一緒なんだから。それこそこんな所で私達が言い争ってるなんて知ったら及川くんが悲しむよ。」


 これ以上騒ぎか大きくならないよう、言葉を選び、みのりんとファンの子達に言い聞かせるように言ってみせた。


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