【HQ】岩ちゃんが男前過ぎて今日も私は死にそうです
第2章 女の子
「…ってえな!」
「おー、悪い。」
「…岩ちゃん!」
悪いと言いながらも全く悪びれた様子の無い岩ちゃん。
「お前他校性相手に何やってんだよ?」
岩ちゃんにボールをぶつけられた青城生は舌打ちをすると、すれ違いざまに覚えてろよなんて言って去って行った。
「誰がアンタの事なんか覚えてやるかっつーの!」
遠くなっていく彼の背にべーっと舌を出した。
「マッキー、大丈夫?」
「…ごめん、郁。」
「永野、三条、平気か?」
「うん!全然大丈夫!岩ちゃん助けてくれてありがとう!」
「助けてくれてありがとうじゃねーだろうが。男相手に突っかかっるなんて危ねーだろ。」
初めて向けられた岩ちゃんの険しい表情に思わず肩が跳ねた。
「大丈夫だよ!私、チビだけど体動かすの得意だから!」
球技は勿論だが、水泳、陸上、柔道、空手と体を動かすスポーツは何でも出来る。
「永野に何かあったらって思うと気が気じゃねえんだよ。こういう時は大声上げて周りに助けを求めろ。」
小さい頃から友達が泣かされた時は相手が男の子だろうが年上だろうがすっ飛んで行ってたから、周りに助けを求めるって考えが無かった。というよりも、考えるより先に体が動いてしまうから。
「でも、私、結構強いんだよ。」
「強くてもお前は女なんだから。無茶しようとすんな。」
「…うん。」
自分自身でも女の子らしくないという自覚はあるし、こんな性格だから、周りも私を女の子として認識してない。だから、初めて受ける女の子扱いに少し…いや、かなり。なんかドキドキした。