第5章 お仕事【エルヴィン・スミス/微裏】
しかし、それからというものの、分隊長の姿は見えなくなってしまった。
敷地内でも前までは歩いている姿は見れていたのに、ぱったりと見えなくなった。
『………そんなに分隊長って忙しいんだ…………』
壁外調査へ行ったら死亡者・行方不明者のリストを作ったり、報告書を作成したり、また、遺族の家に手紙を持っていくのも分隊長のお仕事だった。
最終的にはキース団長の手にいっちゃうわけだけど、ほとんどの仕事は分隊長がやっているみたいだ。
それに、半年後に壁外調査をやるんじゃないかという噂が出ている。もしかしたらそれも今の忙しさに含まれているんじゃないのだろうか。
わがままを言ったらもっと会いたい。もっとお話して、手とかも繋いでみたい。
でも、こんなことを言ったら絶対に迷惑かけてしまう。お忙しい人だから。
だって、『仕事と私、どちらが大事なの?』と言われたら嫌な気分になるでしょ?それと同じことを言おうとしてるんだから。
それに、そんな分隊長が好きになったんだから………。