第4章 日常【ジャン・キルシュタイン/甘】
はぁっ、
はぁっ、
無我夢中で走り、誰もこなさそうな部屋の近くまで来てしまう。流石に全力疾走だったので息切れがしたので壁にもたれながら座り込む。
昨日からどうしてもジャンの支える腕の感覚が頭から離れない。
確かに、私は今までジャン含め男子にそうやって転びそうになったところを支えてくれたことなどない訳で、経験が浅いためドキドキしていることは有り得るのだ。
なのにどうしてこんなにジャンのことを意識してしまうんだろう…………
『私って……単純な女だったのか』
たった1回助けてもらっただけでこんなに悩んでるなんて。
意識しちゃってるだけ。ただ意識しているだけなんだ私は。それでなきゃジャンのことなんて…………
この気持ちを認める訳にはいかない。だって…………認めちゃったら辛い現実が私には待っているだろうから。
ジャンはミカサが好き。これは紛れもない事実。
それに、私とジャンは腐れ縁。私がそう思っていたようにジャンも私のことはただの悪友だと思っているだろう。そして、私もそう思っていたようにお互いを異性として認識していない。
だめなんだ。