第4章 日常【ジャン・キルシュタイン/甘】
『ほんっとお前ら夫婦みたいだよなぁ、いつも痴話喧嘩してんじゃん』
まわりの男子兵がニヤニヤしながら私たちのテーブルの周りに集まる。
『ちょっと、私こんな馬面じゃなくてもっとかっこいい人と結婚したい』
『俺だってもっと美人と結婚してぇよ!こんなガサツ女はごめんだ!』
実際私はジャンのことを友達としか思っていないし、あっちもそう思っているだろう。男女に友情は発生するのかという議論はあるが、まさにその関係だと思っている。
『ジャンはミカサみたいな綺麗な子がいいんだよねぇ〜』
私はミカサのいるテーブルを軽く指さす。
ミカサというのは黒髪の綺麗な女の子で、運動神経抜群で何をやらせても完璧にそつなくこなす。
ジャンはそんなミカサが好きなのだ。どうやら一目惚れをしたみたいだ。
でも、私の見る限りミカサはいつもエレンのそばにいることが多い。確か同じ家に住んでたんだっけ
『っな、そ、それとこれとはちげぇよ………そりゃあミカサは綺麗だが……』
『あー、顔赤いー』
『う、うるせぇ』
ジャンは昔から一目惚れ体質みたいで、惚れてすぐに彼氏がいて失恋する、というパターンだった。