第4章 日常【ジャン・キルシュタイン/甘】
『ふわぁ、ねむ………』
訓練兵の朝ははやい。
早朝に起こされすぐに朝食。その後に地獄の訓練が待っている。
もうここに来てから数ヶ月。最初こそは辛かったけど、今はもう慣れてしまっていて、休みの日にですら早起きしてしまうくらいだ。もっと休みたいのに。
『なにアホ面して歩いてんだぁ〜?』
どこかバカにするような声が聞こえ横を向く。
『アンタは馬面してるけどね、おはよジャン』
『はぁ?誰が馬だ』
『ジャンしかいないでしょ』
『ったく可愛くねぇ女だなぁ』
『そりゃどーも』
私とこの男__ジャン・キルシュタインとは小さい頃からの腐れ縁。家が近くて、よくジャンのお母さんのご飯を食べさせてもらっていた位だ。
私がこうやってバカ言い合えるのもこいつだけ。
というか最初に吹っかけてくるのはあっちなんだけど。
『ちょ、ちょっと……昔からの友達なんだから仲良くしなよー』
ジャンの隣にはマルコもいた。マルコはとても優しくて思いやりがある人だった。
『こいつと仲良く?無理無理』
私は食堂のいつもの席に座る。
『あ??俺だってなぁ!!』
ジャンは私の目の前に座る。
『…………仲良いじゃん』
マルコが聞こえないくらいの小さな声でぼそっと呟いた。何言ってたのかはわからないけど。