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【YOI男主】激突!皇帝VS風雅人・長谷津冬の陣

第3章 超局地的寒気団、襲来。


「うーん、温泉ってやっぱええなあ♪」
「好きなだけ入ってってよ」
自宅に戻った2人は、露天風呂で疲れを癒やしていた。
優子や3姉妹達と約束した通り、今日の純は『アイスキャッスルはせつ』まで勇利と共に彼らの主催する発表会の手伝いに出かけた。
そこで思わぬトラブル対処などにも見舞われたが、発表会そのものは概ね成功で、勇利は勿論純もジャンプの難易度や回数を減らした即興プロを滑ったりしながら、競技とはまた違った充実した1日を過ごしていたのである。
上機嫌で夜空を仰いでいる純の横顔を眺めていた勇利は、ふと彼の首筋の辺りに何かついているのを確認した。
はじめは自分の目の錯覚かと思っていたが、温泉から上がって眼鏡をかけた時にも、普段は衣服に隠れていた純の首筋の他鎖骨にも、はっきりと見て取れたのである。
それは勇利にも見覚えのあるもので、そして自分は純とは違ってその刻印を愛しい恋人へつける側であった。

「…どないしたん?」
「な、何でもない。湯冷めしないように気をつけてね」
「ん。有難う」
礼を言う純から顔をそむけるように横を向くと、勇利は彼の肌に所有の証を刻んだ相手を脳裏に思い浮かべる。
どちらかと言えば潔癖で、自分にも他人にも厳しい純が身体を許す男といえば、やはり『あの人』だろうなと勇利は考えた。
遡れば全日本選手権でFS終了の翌日、一緒に大阪のリンクへEXの練習に出かけようとした時、珍しく待ち合わせに遅刻をした純から漂って来た香りは、今日も彼が使っている白檀の練り香水ではなく、大会中彼の傍にいた『あの人』のものだったからだ。
「純は、年末を『あの人』と一緒じゃなくて良かったのかな?」と思う一方で、勇利は最後に自分の愛する人に同じ印を刻んだのはいつだったろうと記憶を巡らせていた。
流石に今は消えているだろうが、一度思い出すと愛する人の白い肌に新たな痕をつけたい衝動に駆られそうになる。
(ヴィクトルは今忙しいんだから!来年1月のユーロが終われば、韓国での四大陸の為に長谷津に戻って来る!…でも……)

「…はっくしゅん!」
「大丈夫か?勇利こそ早よ服着んと、風邪引くで」
半裸の勇利を、いつの間にか着替えを済ませた純が、不思議そうに覗き込んでいた。
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