第9章 言葉の使い方
食堂に着くとテーブルに大きめの白い箱が二つ置いてあった。
みんながそれぞれの席に着くと
由佳が全員に皿を配り終えると、箱を開ける。
そこにはホールのチョコレートケーキと
イチゴが沢山のったデコレーションケーキがあった。
キャプテンが
「由佳から疲れているだろうからみんなへ。だそうだ!」
みんなが一斉にお礼を由佳に言う。
えへへって笑いながら、
由佳は皆にチョコがいいか、イチゴがいいか
聞きながら切り分けていく中
一番初めにイチゴのケーキを僕に当たり前のように渡してきた。
全員で、いただきます!って由佳に言って
みんな美味しそうにケーキを頬張っている。
僕も甘くて甘くて美味しくて…
でもふと見た由佳はイチゴのケーキに手を付けていなくて
つい今までの癖で話しかけてしまった。
「食べないの?」
びっくっとした由佳は
「え?あ?んっと…あ!ダイエットしようかなって思って。蛍は…もうケーキ食べれないかな…?その…もし食べられるなら…食べてくれると助かるんだけど…。」
こっちをチラッとみて
またあの顔をして俯きながら言った。
それがまた思考と心をグルグルとさせる。
「なにその取ってつけたような嘘…。」
「ごめん…あの、ケーキ食べて…?」
そう言うとお皿ごと僕に押し付けて
「食べ終わったお皿回収しまーす!」
とさっきとは全然違う明るい声で言いながら
笑顔で他の人達には対応していた。