第9章 言葉の使い方
由佳が好きなのはきっと、キャプテンなんだろう。
由佳の好きな「大地さん」は
由佳を嫌っているワケでも
冷たくされたワケでもないのだから。
由佳の好きな「大地さん」には
笑顔でありがとうと頭を撫でて貰えるのだから。
だから僕に嫌な思いをさせられたら、僕を切ればいいだけ。
僕が由佳の立場なら同じことをするだろう。
だから仕方がない。
一年の風呂の時間になり
湯船につかりながらボーっとモワモワと動いている湯気をただ羨ましいな…と眺めていた。
窓を開ければ一気に無くなってしまう湯気が。
風呂から上がり今日は広間に行くのはよそう。
と思いながらスマホを見ると
メッセージアプリが来ていた。特に気にも留めずに開いたら
【蛍、後で少しでいいから時間とれないかな…?話したいんだけど。】
由佳からだった。
しまったと正直思う、既読をつけてしまったから、
気づかなかった
は使えない。返事に困りながら廊下を出ると、
縁下さんが
「一年みんないるな!食堂に集まれ。だって」
と、招集をかけられている事を伝えると
本人はそそくさと食堂に移動していった。
僕はメッセージアプリに
嫌々【わかった。】とだけ送った。