第9章 言葉の使い方
「あぁー!月島までずりぃー!オレもしてもらいてぇー!!」
「オレもオレも!!」
と、西谷さんと日向が素直に催促をしているのに対し
「今日は流石に疲れたから、ノヤっさんと日向は明日じゃダメかな?」
って由佳が優しく答えると
「おう!約束だかんな!」
「わかった!明日が楽しみだぁ!」
二人ははしゃぎながら答えていた。
それでみんながマッサージから離れ他の話題になった時、
「マッサージ、どうだった…?」
って、由佳がコソッと少し不安げな声で耳打ちしてきた。
「別に…」
そう答えた僕に
「そっか…。無理やりしたのにごめんね…。」
そんな事言うから少しびっくりして由佳を見たら、目が合って…
由佳は寂しそうな顔をして笑った。
本能でマズイと思ったけど、
フォローする言葉が思いつかない。
嬉しかったって伝えられればいいんだけど。
そんな事言えなくて…。
どうしようと左隣りを見たら、
由佳はすっと立ち上がってこっちを見ずに俯いたまま
「今日はもう、寝ますねぇ~お先に失礼します!おやすみなさい。」
周りも由佳に、おやすみと応えて
由佳は広間を後にした。
表情は見えなかったけど
きっといつものように笑ってはいなかったんだろう。
由佳がいなくなったら例の三人はさっきの話をしはじめた。
「結果は大地さんだなぁ!!」
「由佳の理想は大地さんに決まりだな!」
「えぇ~、偶然じゃないですか??」
なんて事を言っていたら
「くだらない話はそこまでだ。想像でそんな事言うもんじゃないぞ。」
と、キャプテンが一喝したので
そこでその話は終わり、その後僕達も解散になり
相部屋のあてがわれた慣れない布団にもぐりながら
僕は不安感を残したまま
寂しそうな笑顔の由佳が忘れられずに眠りに落ちていった。