第8章 瞳が月のように光るから
「小学生になった時位から自分でご飯作りだすようになって、ある時テレビでバレーボール見て、そのキラキラした選手の姿に憧れて、家にいても寂しいからって母親に言ったらすぐやらせてくれて。夜もどうせ一人だから、子供の部だけじゃなくて夜の部のママさんバレーにもお邪魔してね。皆、家庭環境の事情知ってたのかもしれないけど、優しくしてくれて。中学上がったら一年でレギュラーになれてね、二年で全日本強化合宿選手に選ばれて…その頃から母親が会社から宮城に転勤してくれないかって言われてたんだけど、あたしはこのまま、ここでバレーをしていくんだ!って横浜の強豪校にも行きたかったから…。母親も理解してくれて断ってくれてたんだけどね。」
「へぇ~すごいじゃん。天才ってヤツデショ。」
王様タイプか…。
だからバレーに関してはあれだけ話が合うんだろうな。
王様が由佳に惹かれてるのは気付いている。
由佳は天才で、王様の言いたい事が感覚で分かるんだろう。
だから話が弾むんだろう。
「天才じゃないよ…。他の人よりボールに触る時間が長かっただけだよ。でね、ちょっと話ずれるけど、友達グループに彼氏ができた子がいたんだよ。すごくモテてイケメンで優しいって皆から言われる男の子でね。その子幸せそうで。みんなで良かったねって言いながらさ。それで、二学期になった時その友達の子の彼氏から告白されたの。あたしと付き合えるならその子と別れるって…。もちろん断って、グループでも特に仲がいい二人に相談したんだよ。それで、その子にはその事は黙っておこうってなって。でもその彼氏が友達に、あたしが誘惑してきたって言ったらしくてね…。」
「最低な男じゃん」
本当にそう思った。
初めから、由佳目当てで近づいたのかもしれないし、
そうじゃなくても由佳が好きになったのに
その子を予備として取っておくその精神が
僕には理解不能…。