第8章 瞳が月のように光るから
由佳はスーと息をため込んで
ハーと吐いてから話し始めた。
「物心つく前からだったとは思うんだけど、ついた時からは父親に毎日暴力ふられてたの。幼稚園とかも行ってなくて。隣の部屋に父親がいる時は出来るだけ物音立てずに…ほぼ毎日居たから働いていなかったのかも…。母親が仕事から帰って来たらそばから離れないようにして。でも、食事の時間が一番嫌いだったの。こぼしたり音たてたりですっごく殴られたりするから。ある時、いつものように殴られて…これだけは鮮明に覚えてるの。鼻と口から大量の血がでて母親も凄く殴られて。気を失って気づいたら知らない女の人の家にいて。」
「…DVか…。」
そんな事があった様な雰囲気は一切無かったから
全然気づかなかったし、男子、男の先生とも普通に話しているから。
「母親が今の仕事についたのも女の人の家にいる時、きっとその頃だと思う。知らない女の人の家を出て母親と二人きりで、仕事が忙しい母親とは一緒にご飯食べれなくなって、ご飯は作り置きでね。毎日冷たいの。レンジで温めても、冷たいの。」
「…うん…」
頷いたはいいが正直わからない。
小さい頃から一人で食事をとる事なんて
ほとんど無かったし、冷たい食事なんて、
それこそ親が出かけているとかで…
毎日冷たい食事というのはどんな感じなんだろうか…?