第7章 ソレの扱い方
五月に入り由佳はますます機嫌がいい。
理由はわかっている。あと少しでGW合宿だからだ。
はっきり言って僕は面倒だと思っている。
まず、自分の時間がない。
寝る部屋も一年全員で相部屋。
山口だけならまだしも…。
風呂も共同で、学年ずつ入る。
唯一救いなのは、由佳が合宿中ずっといることだ。
あのウルサく話が通じない奴ら二人と四六時中いるのだから、
山口以外の話し相手も必要だ。
そんな言い訳を自分にしながら、もう合宿に入った。
5月2日
合宿が始まった。思っていたよりも練習量も多い、
20時になるころに合宿所に着き、
由佳や、清水先輩、先生が作った夕飯だった。
美味しいカレーだったんだけれど、納得いかないのが、
ポークカレーで王様にだけ温玉が乗っていたことだ。
日向が王様だけずるいと騒いでいると
ポイポイとみんなのカレー皿に目玉焼きが乗せられた。
由佳がニコニコしながら卵は栄養満点だから食べなきゃねって。
「由佳~なんで影山だけ温玉なんだ??」
って菅原さんが聞いた。
「前に好きな食べ物の話してて、影山はポークカレーの温玉乗せが好きだって言ってたんで、潔子さんに無理言ってポークカレーにしてもらったんですよ!温玉もですよ~」
「へぇ~、オレ激辛麻婆豆腐がすきだよ!明日は麻婆豆腐…「それは、ほかの部員が食べられない可能性の方が高いからダメです!」
「なんだよ~…由佳のケチ~」
なんて菅原さんと話していたから確信を持った。
王様のためにカレーも卵も…。
イライラしながら食事をとり終え、
風呂あがりに飲み物を飲みながら大広間に山口と座っていたら、
やはり風呂上りの由佳がレモンティー片手にひょこんと僕の左側に座って来た。