第7章 ソレの扱い方
今日もだけど、最近王様が頻繁に僕たちのクラスに来ては由佳に話しかけている。
教科書を貸してほしいなんかは良くあることで。
それに関しては日向もだけれど。
僕だと貸してくれるわけがないからってさ。
まぁ、貸さないけどね。
ただ、王様との会話を聞いてるとまともな会話ではないのが可笑しくなる。
簡単に言えば知能指数が合っていないから会話が成り立っていない。
由佳が宮沢賢治の銀河鉄道の夜の話をしているのに
王様はアニメでやっていた銀河鉄道だと思っている。
由佳は一生懸命王様の話を拾おうとするが、
根本的に違うのだから、成り立つわけがない。
でもバレーの話になると
それはもう僕が入り込めないくらい深いところまで話している。
トスのテンポからそれこそマネと話すような内容じゃないところまで。
そういうとき、僕はイライラするのが嫌なので
飲み物を買いに行くと言って席を立つ。
そんな時なぜか、由佳もついてきて…。
「一緒にジュース買いに行こう!」
って。
そういう事されると困るんだよ。
それが当たり前になってさ。
僕が席を立てばついてきてくれる!
って僕がそう学んだ時、
由佳が来なかったら…
ってさ。
心が不安になるから、
困るんだよ。
選ばれなかった?
って辛くなってさ
期待なんてしたくないはずなのにさ、
期待しちゃうようになるから。