第1章 名前
「あっ、蛍!あたしね、スマホにしたばっかりで…電話帳も空っぽなの。もし良かったら連絡先交換しよう?」
もう名前呼び捨てなのをつっこもうかとは思ったけれどそれも面倒だし、何故か嫌ではなかったから。
ニコニコと笑いながらスマホを見せつけてくる彼女に自分の番号が表示されたスマホをポイと渡した。
たどたどしい手つきでスマホと格闘して5分。彼女はやっと登録し終えたようで自慢げに電話帳を見せつけてきた。
「見てみて!蛍が一番最初だよ!」
ちらっと彼女のスマホを見てみると本当に僕以外電話帳には入っていなくて。
違和感を感じた。
「蛍はメッセージアプリ入れてる?あたしまだ入れてなくて…。あと、おススメのアプリとかあったら教えて~」
「このメッセージアプリが一番使われてるんじゃない?おススメは後でいいデショ」
僕はメッセージアプリを起動させ画面を見せた。ふむふむと頷きながらまた彼女はスマホと格闘し、アプリをインストール出来たようだ。