第5章 それが当たり前で
翌日、楽しそうにしている由佳をしり目に、
三人で体育館に行くと、対決内容が言い渡された。
王様と小学生にチームには二年生の田中さんが入る。
僕たちのチームにはキャプテンが入ることになり、
試合は始まった。
周りには聞こえないように
頑張ってね!なんて小声で言う由佳。
序盤はいい感じだった。
でも、負けた。
由佳がいる手前結構本気でやっていたのに。
仕方ないと言えば仕方がない。
相手は王様だから。庶民の僕とはレベルが違う。
でも由佳には僕の勝ったところを見せたかった。と…。
ふと思ったのは、
たかが部活でバカみたい…って言葉。
そう、たかが部活のしかも部内の試合で勝った所を見せたかった、
なんて僕も相当なバカだな。
由佳がパタパタと近づいてきて
「お疲れ様!蛍もグッチーもかっこよかったよ!」
なんて。
負けたのにかっこいいとか本当に由佳の思考回路は意味不明。
それでも僕の心は軽くなるから本当に由佳という人間は不思議だ。
部活も終わり、帰り支度を終え部室を出て下駄箱へと向かう
何時ものように玄関で待っている由佳。
お疲れぇ~
なんて間の抜けた声でヘラヘラ笑っている。
このコロコロと良く変わる表情は見ていて飽きない。