• テキストサイズ

恩讐の花嫁 【Fate/GO 巌窟王 夢小説】

第8章 裁判


「そうだ! お前を庇って、ワシの息子は殺された!!!」
「ウチの子は、巻き添えを喰らわされて、死んだのよ!!」
「俺の母さんは、逃げ遅れただけで、殺された!! お前らの目の前でだ!!!!!」
「あんたが責任者なんでしょう!!? だったら、あんたが全部、責任取りなさいよ!!」
 私と敵を取り囲む、『人間のような存在』達も、口々に叫び出した。そのあまりの勢いに、心が折れそうになる。

「アハハハハハ! 責任を取るなど、そんな大それたこと、このような小娘などにできるものか!」
 ジャンヌ・ダルク・オルタの顔が、楽しげに歪む。嘲笑が、辺りに響き渡る。

「……っ。」
 今までのレイシフトしたときの情景が、走馬灯の如く、私の脳内を駆け巡る。確かに、私は、人理修復のためだと、自分しかこの世界を救えないのだと、そうやって自分に言い聞かせては走り続けてきた。時として、非情に振る舞えと言われれば、それしか道は無いのだと定めた。救えたかもしれない命だって、切り捨ててきたこともあった。それが、正しいことなのかすら、考える暇もなく。……いや、本当は、考えないようにしていただけかもしれない。本当の私は、何も特別な存在じゃないのに、私の判断ひとつで、失われた命だって、あった。それって、本当はものすごく怖いことなのに、恐ろしいことなのに、私は、そこから目を背け続けてきた。そうしないと、この小さな私は、責任の重さに押しつぶされてしまいそうで、恐ろしかったのだ。それが、巡り巡って、この事態を招いたということだろうか……?
 ああ、ただの一般人が、英雄の真似事なんてするから、恨みを買ったのかな。それは、ある意味、当然の末路みたいな、そんな気がしてくる。ここは戦場のはずなのに、泣きそうになる私がいる。

/ 312ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp