第8章 裁判
「フン、分かったか小娘。お前が此処へ呼ばれた理由が。然るべきことだろう。確かに、人理修復は、素晴らしい功績なのだろう。だが、既に死んだ我々には、何ら恩恵のない話だ。」
「そうだそうだ!」
「迷惑な話だ!」
敵が、そう吐き捨てるのに合わせて、『人間もどき』達も、口々に喚(わめ)いた。
「それに、『サーヴァント』? お前が使っている人間もどきだ。争いにより死んだ人間を喚び出し、再び新しい争いに投入する。そうやって、さらに戦禍を広げ、新たな被害者を増やす。これが、英霊召喚というものだろう? この霊基(カラダ)も、それの再現だが、結局のところ、“これ”はただ、人間よりも多くの“機能”と“燃料”を積載し動いているだけの殺戮(さつりく)人形だ。だからこそ、“我々”にも再現が可能だったのだが……、おっと。あまり不要な喋りが長いと、傍聴席の皆様が、苛立ちのあまりうっかりお前を殺しかねない。さて、これは一応裁判だ。判決といこう。」
狂った空間。何を言っても、恐らくは無駄だ。私に対する評価は、まぁ……、全部じゃないにせよ、合っている部分もあるのかもしれない。でも、絶対に違うと、こんな私でも言い切れるところが、ひとつだけある。皆と過ごした『マスター』である私だからこそ、ここは声を大にして反論する。
「私と共に戦い続けてくれた“みんな”は、そんな存在じゃない!!」
私は、声の限り叫ぶ。そうだ。事情は皆それぞれでも、『サーヴァント』たちは、死力を尽くして、私と共に戦い抜いてくれた。人類の未来を繋げてくれた。それを、殺戮人形だなんて、呼ばせたくない。
「黙れ!! 小娘!!! 判決、死刑だ!!!!!」
敵が、憤怒の表情で叫ぶ。
「そうだそうだ!」
「死ね!」
「早く殺せ!!」
『人間のような存在』も、黙ってはいない。