• テキストサイズ

恩讐の花嫁 【Fate/GO 巌窟王 夢小説】

第8章 裁判


***


 道中は、不気味なまでに静まり返っていた。昨日までいた骸骨の怪物も、シャドウ・サーヴァントもどきも、1体だって確認できなかった。ここまで何の敵も出てこないとなると、逆に罠でもあるのかという気もしてきたが、それも無かった。念のため、『未確認座標X-B』にある、サークル跡地にも立ち寄ったが、アヴェンジャーと私が調査した状態そのままで、何の変化も無かった。

「ここまで何もないと、逆に不気味。罠を警戒せざるを得ない状況だと思うけど……。」
「ふむ。俺もそう考えてはいたが、本当に何もないな。まぁ、傷ついた地脈もそのまま故に、カルデアとの通信も回復しないがな。」
「うっ……。」
 そうだった。敵がいなくて罠が無いからといって、決して安心できる状況ではないのだ。
「だがまぁ……、恐らく、残る敵は少ない。敵も、いよいよ魔力事情が逼迫(ひっぱく)しているのかもしれんな。で、あればだ。ここでひとつ、“種”でも撒いておくか、マスターよ。運が良ければ、ノーリスク・ハイリターンだ。」
「……?」
 アヴェンジャーは、何を言っているのだろう。というか、アヴェンジャーは、頭脳明晰過ぎて、ただの凡人である私には、到底考えもつかないことを言い出すことがある。今だって、アヴェンジャーが何を言いたいのかなど、私には見当もつかない。
「え、えっと……?」
「ンン? カルデアとの通信を回復させたいのだろう? なら、何か、魔術的な触媒なり、魔力を帯びた道具なりは無いかと言っているのだが?」
 今の言葉は、そういう意味だったのか……。勘の悪い私には、全く分からなかった……。
「そ、そんなこと突然言われても……。」
 いつもはマシュの宝具を使っていたから、そんなことを言われても、何も思いつかない。そもそも、サークルを設置するための魔術的触媒って、一体どんなものが該当するのかさえ、私には見当もつかない。
 でも、アヴェンジャーにそう言われて、携帯袋を見る。水、端末、応急手当セット、データチップ……。ダメだ。触媒になりそうにもないものばかりだ。いや、待って。これならどうだろう。
「計測器、とかは……? ダ・ヴィンチちゃん特製の、魔力計測器。私にはその仕組みすら分からないけど、アヴェンジャーなら、分かる?」
/ 312ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp